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松界渓谷とともに月岳山国立公園を代表する、美しい渓谷である。かつては交通が不便で、知る者だけが訪れていた深山幽谷だったが、近年は道路網の発達に伴い、毎年夏になると避暑客で賑わうほどに広く知られるようになった。昔、ある文士がここを訪れた際、天と地も秘密にしたがるほどの名所だと称賛を惜しまなかったという。用夏渓谷は、用夏谷と水門洞谷に分かれている。言葉に表せない渓谷のその美しさは、何と言っても用夏谷の九つの秘境に代表される。それゆえ用夏九谷とも呼ばれてきたのであり、大韓帝国時代末期にパク・ヒソンという人物が、この九つそれぞれの絶景にふさわしい文言を刻んだことから、広く世の知るところとなった。その文言は朱子の「武夷9曲詩」に倣ったものだと言われている。九つの曲に指定されているものが人物によって異なるのが惜しいところだが、それはまた同時に、それほどにここには多くの美しい景色があるということの証でもある。水門洞谷の水門洞瀑布(滝)と水谷龍潭、屏風滝もやはり用夏渓谷に劣らないほど素晴らしく、神勒寺の上につづく霊峰登山道に位置する水簾仙台もやはり秘境の名に相応しい。